大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)981号 判決

控訴人細井五郎が昭和三一年一月一六日、控訴人田村忠太郎より、本件土地及び建物を賃料各一カ年金一〇万円、存続期間宅地につき契約の日より五年建物につき三年、賃料支払期は契約と同時に三年分前払、宅地の爾後の二年分は毎年末払賃借人は右賃借権を譲渡し、または賃借物を転貸することができる旨の約をもつて賃借し、同年三月一五日横浜地方法務局川崎出張所同日受附第五三〇四号をもつて右土地及び建物につき、それぞれ右賃借権設定の登記をなしたこと、及び控訴人細井五郎が現に本件土地及び建物を占有していること、はいずれも当事者間に争がない。

右によれば、控訴人田村忠太郎と控訴人細井五郎との間における右賃貸借契約及びその賃借権設定登記は、被控訴人の本件土地建物に対する所有権移転請求権保全の仮登記後になされたものであることが明らかであるから、仮登記権利者たる被控訴人は、仮登記の効力として、控訴人細井五郎の右賃借権を否認し、同控訴人に対し右賃借権設定登記の抹消を請求することができるものといわなければならない。しかしながら、仮登記の効力として被控訴人が右の如き権利を有するからといつて、いまだ本登記をしていない現在、第三者たる控訴人細井五郎に対し、民法第一七七条に規定する対抗力をもつ者ではないと解すべきであるから、被控訴人の同控訴人に対する本件土地建物の明渡請求はその理由がないものといわなければならない。

(角村 菊池 吉田豊)

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